よもへい先生の雑記帳

おもに教育たまに音楽

家庭学習の在り方について

「宿題は必要ない。」


センセーショナルな一言が表紙に書かれた千代田区麹町中校長(当時)工藤勇一氏の著書「学校の『当たり前』をやめた」(時事通信社)がベストセラーになったのは約2年前のことだ。

クラス担任,定期テストすらも廃止した工藤校長の学校改革は大きな成果を挙げ,話題になった。


私は当時ある教育機関に長期研修に派遣されており,現場にいなかったわけだが,この本を読んで,家庭学習に依らない学級経営ができたら,と考えていた。

そこで翌年,現場に戻ったときに新たに赴任した学校で同じ学年を組んだ先生にその考えを話したときに、変な顔をされたのを覚えている。


その理由はすぐ分かった。

共働き世帯が多く,夜の仕事をされている家庭も少なくない。よって,家庭のサポートに多くを期待できない。学力的にも厳しい面がある。

そのような地域の実態があったからだ。


大量の練習問題プリントを解かせ,家庭学習の量も多い。

そのような旧態然としたやり方でなんと学力を保っている状況だったが,それも頭打ちになっていた。

宿題の出し方は「計算ドリル全員◯回以上」という感じだ。答え合わせも家庭でやってくるようにということにしていたので,答えを見てしまう子も少なくなかった。


そのような宿題の出し方で,効果が出るはずはなかった。学力的に厳しい子はやってこないか,答えを見て誤魔化すようになるからだ。


私は宿題を出す以上は,効果が出るようにしないと意味がないと考えていたので,宿題に出した内容を次の日の小テストで必ず出題するようにした。

きちんと取り組んできた子からしたら,たちどころに結果が表れる。たとえ小さな成果であっても,積み上げていけば大きな力になる。


学校全体で見ても,そのような取り組みを広げた結果,徐々に成果は出てきていた。


新年度になったとき,家庭学習の取り組ませ方について学年の先生たちと話し合い,宿題の丸つけは家庭ではさせないことに決めた。翌日に教師が行うか,授業の中で行うことにした。

当然,教師側の負担は増える。丁寧に見ていかないといけないし,やり直しをさせるのにも根気がいる。

しかし,本当に子どもたちに力をつけることを考えると,きちんとフィードバックしていかなければならない。

「◯回以上」と決めて後はやらせるだけの方が楽ではあったが,あまり学習効果はなかった。


本心では,宿題は自学だけを毎日取り組めばいいと考えている。しかし,実態として厳しい学校や地域は確かにある。

学校は学力をつけるためだけの場所ではないが,やはり社会を生きていくために,また自己実現のためには必要な学力があることは確かだ。


以前,学習効果についてまとめられた研究論文を読んでいると,もっとも効果が高い取り組みの一つに,教師によるフィードバックがあるとの記述があった。

授業にしても家庭学習にしても,適切なフィードバックがなければ効果は低いだろう。


学校や地域の実態によってやり方は変わるかも知れないけど,大切にしていくべきことは同じということです。