よもへい先生の雑記帳

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教科担任制本格導入で現場はどうなる?

 中央教育審議会中教審)では,1月26日に行われた総会で重要な答申が取りまとめられたようだ。不勉強なことに,昨日の文科省のメール配信で知った。

 「『令和の日本型教育』の構築を目指して」という答申で,概要版と詳細版がそれぞれ公表されており,詳細版の方は97ページ(!)にも渡るボリューム。

 

 その中に以下のような項目と内容が記されていた。

 

 

①小学校高学年からの教科担任制の導入
○ 義務教育の目的・目標を踏まえ,育成を目指す資質・能力を確実に育むためには,各教科等の系統性を踏まえ,学年間・学校間の接続を円滑なものとし,義務教育9年間を見通した教育課程を支える指導体制の構築が必要である。
○ 児童生徒の発達の段階を踏まえれば,児童の心身が発達し一般的に抽象的な思考力が高まり,これに対応して各教科等の学習が高度化する小学校高学年では,日常の事象や身近な事柄に基礎を置いて学習を進める小学校における学習指導の特長を生かしなが,中学校以上のより抽象的で高度な学習を見通し,系統的な指導による中学校への円滑な接続を図ることが求められる。
○ また,多様な子供一人一人の資質・能力の育成に向けた個別最適な学びを実現する観点からは,GIGA スクール構想による「1人1台端末」環境下での ICT の効果的な活用とあいまって,個々の児童生徒の学習状況を把握し,教科指導の専門性を持った教師によるきめ細かな指導を可能とする教科担任制の導入により,授業の質の向上を図り,児童一人一人の学習内容の理解度・定着度の向上と学びの高度化を図ることが重要である。
○ さらに,小学校における教科担任制の導入は,教師の持ちコマ数の軽減や授業準備の効率化により,学校教育活動の充実や教師の負担軽減に資するものである。
○ これらのことを踏まえ,小学校高学年からの教科担任制を(令和4(2022)年度を目途に)本格的に導入する必要がある。

         「令和の日本型教育」の構築を目指して(答申)【本文】より抜粋

 

 

 一番下の記事に注目してほしい。「小学校高学年からの教科担任制を(令和4(2022)年度を目途に)本格的に導入する必要がある。」との一文だ。令和4年度。つまり,来年の4月からということ。

 地域や学校によっては,すでに導入されているところも多いだろう。私が小学生の頃は,高学年では既に教科担任制だった覚えがある。確か社会,理科,体育の授業を3人いる担任の先生が入れ替わりながら教えてくれていた。

 私が所属する学校でも今年度は教科担任制を実施していた。

 

 この教科担任制のよさと注意点について考えたことをあげてみた。

 

1 教科担任制のよさ

 ①指導する教科・領域が減るので,教材研究に要する時間を削減できる。

 ②その分,自身が専門性をもつ教科・領域の教材研究を深めることができる。

 ③子どもたちをより多くの目でみることができる。

 私は意外と③の項目のメリットが大きいのではないかと感じている。自分では気付かない子どもの言動や行動に,他の教師が気付いて教えてくれることがあるからだ。

 子どもたちも高学年になると多様な価値観をもつようになる。一人の担任と一年間ずっと一緒に過ごすよりも,一人でも多くの大人の価値観や生き方に触れたほうが当然,その後の人生においてプラスになるだろう。

 

 また,文科省は「1人1台端末」環境下でのICTの効果的な活用についても言及している。1人1台端末をうまく使えば,より効果的に学習内容を深めることができるだろう。

 例えば,これは私が教科担任制で学年の図工を担当したときの話。工作の作品が完成した後に書く「作品カード」を1人1台端末で作成させることにした。

 これまでは,プリントを配布しそこに鉛筆で「頑張ったこと」や「工夫したこと」などを書かせていた。子どもが作った作品を教師がデジカメで撮影してやり,プリントアウトして配り,作品カードに貼らせていた。

 この「作品カード」を1人1台端末で作成させてみた。子どもたちは自分の作品を端末のカメラ機能で撮影し,シートに貼り付けて「作品名」や「工夫したこと」などをタイピングで打ち込んでいく。シート形式は教師が事前に作成し,プロジェクタースクリーンで映し出していた。

 子どもたちは作成した作品カードを教師に送信すれば,後は教師が提出された作品カードを確認し,プリントアウトする。シートのデザインも子どもたちに考えさせると,工夫をこらした作品カードが出来上がってきた。

 このような取り組みも,教科担任制だからこそ各学級で一貫して行うことが出来る。

 

2 教科担任制で注意すべき点

 ①時数調整

 ②取り組みに差が出ないようにする。

 時数調整は頭を悩ますところだ。教科・領域で実施時数が異なるので,うまく合わせる工夫をする必要がある。また,図工や家庭科などは作品づくりがある。担任が授業を行う場合は作品づくりが授業時間内で終わらない時でも,教科の隙間時間などに取り組ませることもできたが,教科担任制ではそれが難しくなる。下手をすると未完成のまま終わってしまう…なんていうことも。より一層,計画的に授業を進めていかなければならない。

 と,偉そうに書いているがこれは本当に失敗経験があるからなのです。悪しからず。

 

 今後は,より教科・領域に専門性をもった教師の育成が求められる。コロナ禍で各教科のサークル活動は下火だが,教師を目指す方や若手教員は何か一つでもいいので自分の得意な分野をもっておくことをおすすめする。

 私が新任のときに,当時の指導教官から言われた言葉で忘れられない一言がある。

 

「なんでもいいから一つ教科を勉強しなさい。10年は続けなさい。」

 

 それから10年間,社会科の研究に没頭した。10年間やってみて分かったことは,とても10年では足りないということだ。

 子どもに学ぶ楽しさを教えるには,まずは自分が楽しまないといけない。そういう意味では,自分が没頭できる教科と出会えたことは得難い経験だったと思う。

 

 まだまだこれからですね!